これらのキーワードがハイライトされています:10
ミカントゲコナジラミ
Tag: 病害虫 害虫 カンキツ チャ 果樹 樹木
- 和名(分類):
- ミカントゲコナジラミ(コナジラミ科)
- 学名(英名):
- Aleurocanthus spiniferus (Quaintance)
- 寄主植物:
- カンキツ類、ブドウ、ナシ、ビワ、バラ、ミツバアケビなど
- 形態・生態:
- 葉の吸汁加害、排泄物によるすす病併発が見られる。
- 寄生部位、すす病発生部位が裾葉、茶株内の古葉及び枝条であること等から、2006年末の時点で茶では大きな被害は確認されていないが、次世代葉の萌芽数、萌芽時期が遅れるとの談もある。(定量的な報告は2008年5月現在無い)
- 現時点の茶では、実質的に不快害虫としての捉え方が適当ではないか?(手摘み/機械刈り共に摘採作業に支障を来しているらしい) 但し、環境条件が揃えば中国・台湾で報告される様な被害が発生するおそれがあるので、発生状況の把握は必要であろう。
- 天敵:
- シルベストリコバチ、ヒメテントウ類などが確認されている。
本種は外来種で、古くから柑橘類の害虫として知られていた。しかし、国内においてチャへの寄生が、2004年に京都府で、2006年に滋賀県、奈良県、三重県で確認されており、問題になっている。
チャを加害するミカントゲコナジラミは、柑橘類を加害するものとは寄主植物や配偶行動等が異なり、遺伝的にも区別できることから、ミカントゲコナジラミ(チャ系統) とよぶこととなった。
2011年、チャに寄生するものは、別種の チャトゲコナジラミ とされた。
○適用のある農薬
作物:茶
- アプロード水和剤
- アプロードエースフロアブル
- ハチハチ乳剤
- トモノールS(10月〜3月のみ)('08年6月11日追加)
- ダニゲッターフロアブル ('08年5月28日追加)
○その他の防除法−茶−
- 冬季のマシン油散布
- 柑橘では、冬季のマシン油乳剤の散布により効果を上げていることが知られているが、茶でも越冬ハダニ防除にマシン油乳剤を用いることで、同時防除が可能。(晩秋〜初冬と萌芽前の2回散布が有効な模様:マシン油乳剤にミカントゲの登録がないことから、公的機関ではこの種の情報を流せない。)
但し、2007年初頭の日本農業新聞の記事(奈良県総農セ発だったか?)によれば、冬季のマシン油散布は赤焼け病を助長するとの報告もある。冬季のマシン油散布により、葉色の黄色化は普通に見られる現象であるが、冬季の風の強い地域や霜害の多い地域では注意が必要かもしれない。
同様に、アセフェート剤も柑橘では効果が見られるという報告が多い。
- 赤焼け病発病葉に散布した場合、黒変または病班が拡大した後落葉するので注意が必要。
- 秋期〜冬期の裾葉の刈り落とし
- クワシロカイガラムシ防除でも、薬剤の到達を良くする効果を持つので、R1150の圃場では有効な手段と見られる。自然仕立て園でのプルートMCの散布にも有効かも知れない。
- 黄色粘着トラップ
- 他のコナジラミ類同様、効果があるらしい。但し、越冬世代は一番茶の摘採〜番茶刈り落とし期に当たるため、作業に影響のない地域や第2世代以降が望ましいと見られる。多発地域では数日でトラップを交換する必要があるとの事。
他の害虫の飛来を促進する可能性があるので、注意が必要。
コメント†
- 日本農業新聞2007/2/28 --
「茶にかんきつ類害虫 ミカントゲコナジラミ/京都、滋賀、奈良、三重で発生」
- 議員さんのブログに --
なぜか「昆虫」カテが・・
2007年02月17日 県内の茶葉に ミカントゲコナジラミ確認
- 天敵は多いらしい tea-farm --
寄生性のハチの放飼が柑橘では効果を上げたらしいですが、先日の農業新聞の報道に寄れば、被害葉を網に入れて吊すという方法も効果を上げているらしい。(柑橘)
ウチでも一昨年は、有機栽培圃場の裾葉で見られたものの、実質的被害は不明。
今年は寄生を見かけなかった。薬剤感受性は高い模様(夏場の発生が問題とならなかったのはこれに寄るのではないか?と推定しています)。
一昨年の事例では、マシン油により死んだ個体、カビにまかれた個体が見られた。
近隣の発生を見ても、激発してもそれが越年する様には思えない。
- 山間部でも多発している様だ tea-farm --
6月初旬に、府内宇治田原町の山間部茶園を2、3見てきました。
国道から車で10分程度入った茶園でも番茶を刈り落とした後の古葉がすすで真っ黒の茶園が見られました。葉裏にはミカントゲが多数付着。
どうも、この虫自体が知られていない模様。
放棄茶園での発生が気になる所です。(クワシロカイガラムシ同様、却って少ないかな?)
- ホントにミカントゲか?との噂も tea-farm --
某所でお話ししていたのですが、この害虫がホントにミカントゲなのか?という話も出てきているようです。
茶から採取してきて柑橘に接種しても寄生しないらしい・・・。
4の圃場は多発しながら、収量での問題は無かったとか。
アブラムシやミカントゲのすすって、簡単に落とせないのかな?水では煤が濡れないので落ちないし。(摘採時の埃が少々問題でして)
- 日本農業新聞2008/5/20 --
ミカントゲコナジラミ 近畿4府県で急速に拡大 茶にも悪さ/古葉にすす病 登録3薬剤、天敵利用も
紙面では、茶のミカントゲコナジラミについて、より詳しく書かれています。
- >6 tea-farm --
昨年からのこの虫の加害状況にはトンでもない物があります。
春整枝後の茶園では、遠目にも激発状況が推定される真っ黒な茶園が散見されます。
農業新聞の記事では柑橘での発生がほとんど見られないとだけ書かれていますが、四国での多発時の対策は天敵放飼で、天敵が定着したため発生が見られなくなったというのが経過だと認識しています。記事には、この辺りの経過が欠落しているので御注意を。
で、現在、ウチでも成虫が飛び回っている状況です。番茶を刈り落とすのに邪魔ですが、既存の葉での寄生やススは見られません。近くにも寄生園はありませんから、可能性として、ウチの荒茶工場に持ち込まれた生葉に付いてきたのが原因かも知れません。(激発地産のものもあったし・・)
- 多発圃場でうどんこ病? tea-farm --
今日、宇治市白川、宇治田原町湯屋谷の茶園で状況を見てきました。
発生圃場で、すす病が発生しているのは既知の事実ですが、すすの発生した枝(樹冠内部:番茶刈り落とし後なので現在は表面からも見えます)や古葉に、うどんこ病様の白色のカビ(?)の様な物の発生がみられました。
所有者の方に訊くと、ミカントゲは昨秋から多発し、それ以来、この白色のカビの様な症状も見られるようになったとのこと。
現場では、成虫が飛び回ってand/or枝条先端の葉に集合していました。
>5の茶で発生しているミカントゲは、柑橘には寄生しないというのは、確実なようです。では・・・ここでもバイオタイプか?
- 奈良県で注意報2008/7/29 --
奈良県病害虫防除所 病害虫発生予察注意報第3号
チャのミカントゲコナジラミが、県北東部で多発しているそうです。
- 表記が変更されたようです tea-farm --
京都府病害虫防除所 2010年病害虫発生予報第8号(10月)p.7(↓)より
http://www.pref.kyoto.jp/byogai/resources/1285571507603.pdf
カンキツに寄生するミカントゲコナジラミと形態的にも遺伝的にも相違があるため、ミカントゲコナジラミ(チャ系統)と標記されてきている。
最近では、兵庫県でも発見されており、他地域への伝播も時間の問題かもしれない。
防除の大変な害虫ではないので、現時点では大きな問題にはならないと思いますが。
- NHK静岡のニュース 苺FUJISAWA --
NHK静岡のニュースで、注意を呼びかけていました。
おさまる方向になるのは、いつになるのか、他人事ながら気になります。
- ウチの辺りでは既に見かけません tea-farm --
防除所の特殊報が出た年(同定された年)には出ましたが、翌年以降はほとんど見かけなくなりました。
特に、自然仕立て園では、一番茶後、他の地域で言う中切り程度まで剪枝すること、直後にクワシロカイガラムシ防除がある事により、株内まで防除される事が大きな原因ではないかと思います。
現実に、京都府で今も発生しているのは、ほとんどが弧状仕立て園で二番茶以降も摘採する地域で、中山間地(クワシロの発生が遅い上、有機リン剤防除が主)です。
農薬には弱いですし、天敵もかなりいそうですから、そんなに問題にはならないと思うのですが。
すす病を考慮しても、マシン油乳剤防除が確実で最も安価なのですが、どうも化学農薬でないと安心できない人が多い様で、ハチハチやアプロードで虫全滅→却って増える状況になっている茶園が多いです。
知り合いの茶園でも、化学農薬からマシン油に変えてトゲコナもすす病も一掃できたと仰っていました。
Web昆虫図鑑/カメムシ目/コナジラミ科