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糖度(トウド)
本来はショ糖液100g中に含まれるショ糖のg数を言う。
しかし、現在、農産物の世界で最もよく見る使われ方は「屈折式糖度計(後述)の指示値」ぐらいの意味である。
以下、特に断りがない限り、糖度(a)をショ糖液100g中に含まれるショ糖のg数、糖度(b)を屈折式糖度計の指示値とする。
屈折式糖度計†
糖度計と言えば大抵はこの類(図1)を指す。
この器具の指示値は純粋なショ糖液であれば一致するが、それ以外ではあまり高い相関を示さない。ショ糖液以外の液体を測定した場合は、可溶性固形分の%(Brix値)として扱われている。
非破壊糖度計†
近赤外線を使ったものが代表的である。近年では選果機のラインに組み込まれていたりする。屈折式糖度計などで農産物の糖度を測定するためには、搾汁しなければならない。これでは手間と時間がかかる上に、メロン等の高価な作物ではサンプル代が無視できないので、各社で開発が進められている。
糖度に関する誤解†
屈折式糖度計の原理†
御存知の方も多いと思うが、純粋な水は屈折率が低く、電気もほとんど通さない。これに何らかの成分が溶ける事により屈折率が高くなったり、電気を通し易くなる。そして、それらはその成分の溶けている量に概ね比例して高まる。
そこであらかじめ濃度のわかっているショ糖液で、目盛りを付けたのが屈折式糖度計である。光をある程度通す液体状のものしか測定できないが、比較的正確である。
なお、当たり前の話であるが、温度等によっても影響を受けるので正確な値を出すにはメーカーの補正表を使った補正が必要である。
糖度と甘みは比例するか†
まず、一般に言われる糖度は「屈折式糖度計の指示値」である。
具体的に言うと、純粋な塩水でもちゃんとそれっぽい値が示されるが、その塩水を舐めても当然の如く甘くはない。
ここから先がミソで、、、お汁粉に塩を少量入れると甘くなると言うのはよく言われる事である。この場合、本来の糖度(a)は上昇していないが糖度(b)は上昇している。
つまり、糖度(a)としては不正確であるために、糖度(b)は人間の味覚と適合する事が多い訳だ。もちろん、適合しない事も多い。
なお、農産物に含まれる人間が甘みを感じる主要な糖類だけでもショ糖、果糖、ブドウ糖がありそれぞれ甘みの強さと種類が異なる。
そもそもアナログデータの最たる味覚を糖度という単純すぎる数値(デジタルデータ)に置き換えようというのが無理というものである。
指標としての糖度(?)†
しばしば、見られるものに篤農家の工夫として「○○を糖度計で測定して指標にする」というものがある。本人も最初はわかっているようだが、だんだん「光合成生産物(糖)が増えている」等と言い出すのは言葉の魔力というものか。。。
非破壊糖度計の原理と誤解†
アレはそもそも糖度や屈折率を測っているのではないので、作物は元より品種、ステージが変わるとそれようの補正を行わないと使い物になりません。なんか買ってきて単に当てているだけという話をたまに聞きますが、それは無理。
そんな話を書こうとして力尽きました。また次回頑張ります。
参考、出典†
コメント 、改訂履歴等†
- 作成 Sekizuka --
写真が酷すぎ。。。(^^;)
そのうち、真っ当なものに変えます。
- Brix値に意味があるか? tea-farm --
屈折率計の場合、所詮、溶存成分の屈折率の総和でしかないわけで、農産物で云々する場合には、(Sekizukaさんも書かれてますが(?))
特定のステージで、顕著な変化を示す事が判っている成分の変化を追跡する場合、
逆に、成分構成の変化が少ない時に、その全成分変化を追跡する場合にしか使えないのでは?
単独で、なんらかの食味を測定するにはデータ自身が大雑把すぎるし。
農薬や液肥の濃度を確定するには、簡便かも知れないけど、ECと併用する必要があるか・・温度補正の方が影響が大きいかな。
- >2 Sekizuka --
そうなんですよ。あれは実を言うと甘みの指標としては結構いい加減でねぇ。
試験場なんかで試験区A,Bの結果として使う分には、まぁ割と良い感じなんですが、品種比較で使うと全然駄目だよね。
我々の世界では、当然、官能試験を平行して行う訳ですが、バイヤーとかの話を聞いていると「お前わかってないだろう?(^^;)」みたいな事が結構あります。
- 人間の神経の構造の問題 大阪梅沢 --
人間の味覚に限らず、刺激に対する反応は結構対数的にできているのも問題です。糖度が正しく測定されているとして、糖度10と11の差と、糖度20と21の差では、10と11の差の方が大きく感じるという特徴があります。
甘さが重視される果物なら、ある限界以下の糖度ではおいしくないということはありえると思います。でも一定以上の基準を満たせば、それ以上は大差なしと考える方が合理的ですね。
因みに聴覚の場合、10ヘルツと20ヘルツの差も、1万ヘルツと2万ヘルツの差も1オクターブ差という意味では、同じなんです。
- 日本農業新聞2007/4/3 --
メロン糖度、手軽に測定 従来品より割安に/神奈川県農技センター【関東】
- >4 苺FUJISAWA --
>人間の味覚に限らず、刺激に対する反応は結構対数的にできているのも問題です。
ほんと、そこが知りたい。
甘いと感じる作物を作りたい。
糖度計だけで基準を作って欲しくないなあ。と、思う。
- 苺さんのことを逆にいえば。 自由研究中の中学生 --
糖度計だけで計っていくと、本当は、そんなに甘くないのに、「高糖度」なんて書かれると、お客さんをだましてるみたいでいやですね・・・。
もしかしたら、塩などとかと一緒で、「ミネラル豊富」など、書いてはいけなくなったように(?)、 食べ物すべてに、糖度に関することを書いてはいけなくなるかもしれませんね。
- 果汁の糖度の定義 Kanehiro --
「本来はショ糖液100g中に含まれるショ糖のg数を言う。」とか「糖度はショ糖濃度である」というのは不正確であると思います。 「果汁の糖度」というときには、糖用屈折計での測定値(Brix値)のことを糖度といっています。したがって、この糖度には果糖やブドウ糖が含まれています。Brix 1 はショ糖溶液の質量百分率 1% に相当します。つまり、まとめて言うと、「糖度とは果実などの食品の糖含量の指標となる値で果汁試料などを糖用屈折計で測定したときの示度で与えられる。Brix値とも言われる。 1 gのショ糖が20℃の水溶液100g溶けているときその溶液のBrix値 が1 であるとされ、このショ糖溶液と同じ糖度屈折計の値を示す溶液のBrix 値 が1であると定義される。」といえます。糖度は甘さの一つの目安であって、甘味度とは違います。甘味度は結局人の舌によるテストが必要です。
- 糖度の定義はさまざま Kanehiro --
甘味度、糖度、糖含有量、Brixそれぞれに意味があり、関係しています。それを混同すると誤解を生みます。また、これらの定義は不幸にも人と場所により使い方が必ずしも一致してません。したがって、これらの記述を見るときその人や場所でどのような意味で使われているか良くみてみる必要があります。
- 糖度(Brix)は甘味の指標 Kanehiro --
糖度(Brix)は甘味の指標になります。この「指標」という意味は、「比例」ということではありません。同じ食品、たとえば、同じ種類の果汁飲料甘味の大小は、ほぼ、Brixの大小と一致するでしょう。しかし、違った果物の果汁飲料間でこれが必ず成立するかは怪しい面があります。
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