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うどんこ病


Tag: 病害 糸状菌 キュウリ イチゴ ムギ 野菜 花き

概要

 「ウドンコ病」「うどん粉病」などと表記される事も多いが学会等では「うどんこ病」とひらがな表記が使われる。
 英名は Powdery mildew。

 レオティア(Leotiomycetes)綱のウドンコカビ(Erysiphales)目ウドンコカビ(Erysiphaceae)科に属する子嚢菌による病害の総称。
 この病原菌は「うどんこ病菌」などと総称されるが、生きている植物のみに寄生するため「純活物寄生菌」とも表現されるが、まだ生活環がわかっていないものも多く、それらは特に分類が難航している。
 病徴としては、文字通り、「うどん粉(小麦粉)」を振り掛けたように白い粉が植物体表面に散乱する。
 一般に高温乾燥時に多発する事が知られているが、本菌が格別乾燥を好む訳ではないとされている。乾燥時に植物表面の抵抗力が低下し、本菌の活性がそれ程落ちないために相対的に発病が増えると見られている。
 なお、あくまで一般論であるが、植物は相対湿度が60〜80%ぐらいが好適である事が多く、これ以下ではそれなりにストレスとなっている(一般に生育量にはあまり影響が出ない)。ただし、相対湿度90%を超えると、べと病の多発条件となるので注意が必要である。

分類

寄主
Golovinomycesspp.キク科が多い
Blumeriagraminisイネ科
Erysiphesyringaeライラック
sp.(polygoni型)キュウリ
Sphaerothecacucurbitae
fuligineaウリ科
humuliイチゴ
pannosaバラ
Uncinulasimulans
Oidiumlycopersiciトマト
sp.パセリ
Podosphaeraleucotrichaリンゴ

polygoni型とは、発芽管の形状のこと。

リンドウ科植物に発生する既知のうどんこ病

寄主
LeveillulatauricaEustoma grandiflorum
Oidiumsp.Blackstonia perfolita
SphaerothecafuligineaGentiana olivieri
SphaerothecafuligineaGentiana sp.
Oidiumsp.Swertia aucheri
Oidiumsp.Swertia perennis
Oidiumsp.Swertia speciosa

分類2

農業環境インベントリーセンター 微生物分類研のデータベースからSekizukaがかなり削減したもの。
なお、うどんこ病菌の学名はデーターベース作成後に近年の分子生物学に基づき変更された物がある。

宿主の1例
Blumeriagraminisスズメノカタビラ,メヒシバ
Erysipheactinostemmatisミヤマニガウリ
adenophoraeソバナ,ツリガネニンジン
aquilegiaeキンポウゲ,キツネノボタン,タガラシ
arabidisエゾハタザオ
artemisiaeクソニンジン,オオヨモギ,ヨモギ
betaeケアリタソウ,アメリカアリタソウ
biocellataシロネ類
biocellataタイマツバナ
brauniiオオダイトウヒレン,セイタカトウヒレン
brunneopunctataミゾホオズキ
celosiaeノゲイトウ
chloranthiタリシズカ
cichoracearumアブラナ、タンポポ、ブタクサなど
cichoracearum-typeアカネ、マツヨイグサなど
communisエゾタツナミ,ナミキソウ,エゾナミキソウ
cruciferarumシロガラシ,ハタガラシ
cumminsianaオタカラコウ,メタカラコウ
galeopsidisウツボグサ
galiiヤエムグラ,キバナカワラマツバ
geraniiチシマウロ,ゲンノショウコ,ミツバウロ,エゾウロ
glycinesヤマハッカ,ヒキオコシ
glycinesミソナオシ,ヤブハギ,ヌスビトハギ
heracleiオオハナウド
hommaeヒメナミキ,エゾタツナミ,ナミキソウ
horridulaオニルリソウ
huayinensisセキヤノアキチョウジ,ヤマハッカ
knautiaeマツムシソウ,マツムシソウ類
krumbholziiダイモンジソウ,ユキノシタ類
laporteaeムカゴイラクサ
lythriミソハギ,エゾミソハギ
macleayaeタケニグサ
mayoriiヒメアザミ,チシマアザミ,ナンブアザミ
nepetaeカキドオシ
otaniiムカゴイラクサ
paeoniaeヤマシャクヤク,ベニバナヤマシャクヤク
pileaeミズ,ヤマミズ,アオミズ,ミヤマミズ
pisiクサジ,スズメノエンドウ,ナンテンハギ
plectranthiオオバヤマハッカ,ヤマハッカ,カメバヒキオコシ
polygoniツルタデ,オオイヌタデ,イヌタデ
polygoni-typeアブラナ,アビシニヤガラシ,クロガラシ
pusillaマルバネコノメ
ranunculiタマタイチゲ,シュウメイギク
sediキリンソウ,オオベンケイソウ
sordidaオオバコ,エゾオオバコ,ヘラオオバコ,トウオオバコ
sp.ヤブヘビイチゴ、ヤマガラシ
thesiiカナビキソウ,カマヤリソウ
ulmariaeシモツケソウ
viciae-unijugaeヒロハクサジ,オオバクサジ,ナンテンハギ
werneriキケマン,ヤマキケマン,ミヤマキケマン
LeveillulatauricaSolanum integrifolium Poir.
Microsphaeraalniヘクソカズラ(ヤイトバナ)
astragaliムラサキモメンヅル,モメンヅル,リシリオウギ
baumleriツルジバカマ,クサジ,ナンテンハギ
diffusaハギ類
russeliiカタバミ,アカカタバミ
trifoliiハマエンドウ,エゾノレンリソウ,キバナノレンリソウ
Oidiumasteris-puniceiノジギク
crystallinumオニノゲシ,ノゲシ(ハルノノゲシ)
emiliae-sonchifoliaeウスベニニガナ
lactucae-debilisヂシバリ(イワニガナ) 
leonuri-sibiriciメハジキ
sonchi-arvensisハチジョウナ
sp.イカリソウ,トキワイカリソウ
verbenaeクマツヅラ
Setoerysipherodgersiaeヤグルマソウ
Sphaerothecaalpinaユキノシタ類
aphanisエゾヘビイチゴ,エゾクサイチゴ
astilbicolaアカショウマ,トリアシショウマ
balsaminaeキツリネ,ツリネソウ,ニューギニアインパチエンス
cardaminesタネツケバナ
cucurbitaeアマチャヅル
diclipteraeハグロソウ
elsholtziaeジュウニヒトエ,ツルジュウニヒトエ
epilobiiタラオアカバナ,アカバナ
euphorbiaeトウダイグサ,ナツトウダイ
ferrugineaシロバナトウチソウ
filipendulaeオニシモツケ,アカバナシモツケ
fugaxチシマウロ,ゲンノショウコ
fuligineaヘビイチゴ,ヤブヘビイチゴ
fuscaホトケノザ、オナモミ
humuliガガイモ、ヤブガラシ
macularisヘビイチゴ
phaseoliヤブツルアズキ
polemoniiハナシノブ類
pseudofuscaクワクサ
sp.カラスウリ
sparsaオオカモメヅル
Uncinulaasterisノコンギク

出典

参考

コメント

  1. 農林水産省 2009/11/12 -- 2009-11-12 (木) 17:48:42
    平成21年度病害虫発生予報第9号の発表について
    10月は愛知、鹿児島、宮崎、大分で、イチゴうどんこ病の注意報が出ました。
  2. 土着のタラロマイセス 苺FUJISAWA -- 2009-11-16 (月) 23:09:32
    イチゴうどんこ病に効果のあるタパール(タラロマイセス ラバス菌)をよく散布しているのですが、
    菌類も生物農薬を使っていると、土着の天敵的な有効菌も多く見付かる事はないものかな?
    うどんこ病の被害が大きくなるか小さくなるのかは、土着のタラロマイセスみたいな菌類が関与していない物でしょうか?

    平成21年度のイチゴうどんこ病が多発しているところと、まったく発見できないところの菌類の相違が知りたいなあ。と思いました。
  3. 葉の上で被害がなくても 苺FUJISAWA -- 2009-11-16 (月) 23:25:17
    肉眼では植物の葉の上を見ても被害がまったく無いのだけれど、うどんこ病が生きているという事は、無いですよね。
    あったらいいなあと思うのですが・・・。
  4. うどんこ病と市況 苺FUJISAWA -- 2009-12-02 (水) 20:50:54
    苺の出荷量が停滞ぎみかな? と思う。その原因がうどんこ病なのでしょうか?
    うどんこ病は、人の手で作られた病害虫の要素が多いと思ったりします。
  5. >葉の上で被害が無くても しがない学部生 -- 2010-02-21 (日) 07:49:47
    うどんこ病の白い粉は、うどんこ病菌の菌糸と分生胞子です。
    葉の裏面にしか寄生できない主も多数あるので注意が必要です。
    また、菌糸には永続性と消失性があるとされ、消失性のものは時期によって菌糸が見えなくなります。
    さらに、うどんこ病菌は大部分が表皮寄生性菌ですが、内部寄生菌もいます。
     表皮寄生菌は、感染するために、葉の表面から無理くり穴あけて入り込み、菌糸や胞子が葉の表面に作られます。
     内部寄生菌は、葉の気孔などの隙間からうまいこと侵入し、菌糸を植物体内に作ります。表面からでは非常に確認しづらいです。
     ただ、栄養を奪っているわけですから、多くの場合は葉の色が少し変わったりすると思います。
    以上が、知っているルの知識でしたw
  6. >5 Sekizuka -- 2010-02-21 (日) 16:13:44
    >の裏面にしか寄生できない主も多

    「種」も、、、かな?
  7. 日本農業新聞2011/12/20 -- 2011-12-20 (火) 18:46:50
    イチゴ 重曹でうどんこ病治す 農薬使用量が半減 兵庫県農技センター
    方法は、重曹を800倍で希釈した薬液量に対し、その1000分の1の展着剤を混ぜる、とのこと。詳しくは紙面参照。
    お名前: 題名:

Web病害図鑑

英語=Powdery mildew
Web病害図鑑
*1 こちらの2/12の記述も参考に

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Last-modified: 2016-10-25 (火) 15:52:02