本来、「苗」については店頭で適切に管理されていれば相当な店保ちが当たり前なのですが、繁忙期を中心に不適切な管理は結構あります。特に問題になるのは水切れによるロスです。今回は水切れに耐える水分ストレス耐性をつける方法を紹介します。 方法そのものは極めて簡単で出荷直前にNaCl水溶液(塩水)を灌注するだけです。濃度は0.3〜0.6%ぐらいで、量は3号ポットあたり100ml程度です。 この処理を行った苗と無処理を比べると品目による効果は表の通りで、例えばキンギョソウでは萎れるまでの日数が、無処理の12日から19.7日へと1週間ほど伸びています。なお、0.9%以上の処理では葉焼けなどの生理障害の出始めます(品目や培土の種類、管理方法によっても異なる)。 この原理は未解明ですが、次のように推測されています。 灌注した塩類が培養土内の浸透圧を高め、植物に水ストレスを与え、これが気孔閉鎖など蒸散を減らし、乾燥に対する準備が早く起こると考えられます。実際に、これらの塩類処理により乾燥耐性が付くだけでなく、ある程度は徒長抑制なども見られます。 NaCl以外では、KCl、KNO3、K2SO4などでも同様の効果が得られます。
品目 | NaCl濃度 | ||
0% | 0.3% | 0.6% | |
キンギョソウ | 12.0 | 16.0 | 19.7 |
アリッサム | 12.0 | 12.8 | 14.0 |
マリーゴールド | 14.3 | 15.5 | 18.0 |
ハボタン | 13.8 | 16.0 | 18.5 |
サルビア | 9.7 | 12.0 | 15.3 |
デージー | 24.0 | 27.5 | 35.3 |
ペチュニア | 25.0 | 35.7 | 40.8 |
ダイアンサス | 18.5 | 27.4 | 35.4 |
パンジー | 19.5 | 27.3 | 38.0 |
クリサンセマム | 25.3 | 35.5 | 38.5 |