「農作業メモ」400字詰め原稿用紙2枚以内(図表を含む)
〆切:7/17
ん〜?図表はどう換算するんだ?(^^;)
「ミカンキイロアザミウマの基本生理と防除」
本種は花卉類の最重要害虫ですので情報をまとめてみます。
本種の産卵は、葉や花弁などの組織内に産むため薬剤が効きにくいです。
幼虫は植物の表面に現れるとすぐに食害を開始します。この状態では移動能力
は低く、薬剤にも比較的弱い事が知られています。
成虫は「ウマ」と呼ばれる通り、跳躍するように移動します。「飛翔」する能
力は弱く、グライダーのように滑空します。盛んに跳躍したり、植物の高いとこ
ろへ上るのも風を捉えやすくするための習性でしょう。高さ別にトラップを仕掛
けたデータでは高さ1mで90%、2mで7%、3〜5mで3%となっており、
他のアザミウマより更に低く跳びます。
成虫も低温には比較的強く、湘南辺りでは問題なく越冬できます。雑草の芽や葉
柄部の隙間に身を隠して越冬しています。逆に高温には比較的弱く、高温期には
他種が優占種になることが多いようです。
本種の♀成虫は羽化後3日目ごろから産卵を始めます。この際に花粉をエサに
すると産卵数、発育ともに優れます。実際に研究のために飼育する場合はマツ花
粉(安価)をエサにすることが多いようです。
これらの生態から薬剤に頼らない対策を以下に述べます。
側窓にネットを張ると激減します。材質によっても違いますが、1mm目で5割
減、0.8mm目で7割弱に減ります。また、温室周辺に防草シートを貼ることも効
果的です。本種が生息できない環境作りはもちろん、一端地面に降りた個体が飛
び立ちにくくなります。これらの資材にシルバーなどの反射資材が織り込んであ
ると、本種の方向感覚を混乱させ直接の飛び込み量も減らせます。
残念なことですが、卓効剤として知られたスピノエースにも抵抗性系統が大阪
で発見されています。今のところ、県内では報告がありませんが時間の問題と思
われます。農薬「だけ」に頼らない防除体制の確立が必要です。