露地花卉IPMとしてのソルゴー巻(ソルゴー障壁)栽培
H市内ではキクを中心とした露地切り花の生産が盛んですが、全国的には露地切り花全般に栽培が減っていることもあり、研究や農薬登録はあまり進んでいません。そこで露地野菜で開発された技術から切り花にも利用できそうな技術を紹介します。
岡山県でナス用に開発された技術に「ソルゴー巻(ソルゴー障壁)栽培」と言うものがあります。これはナス圃場をソルゴーという牧草でぐるっと囲うとアザミウマの被害が激減するというものです。原理としては次の2点あるとされています。1)アザミウマ類は自力で飛翔するというよりも風に乗って移動します。障壁があると作物に辿り着けない可能性が増えます。2)ソルゴーに発生する害虫はイネ科のみを加害するものが多いのですが、これらを食べる天敵類はナスを加害する害虫も抑制します。
実際の栽培法は次のように行います。圃場をぐるっと囲う様にして幅1mほどの畝を作ります。これに株間20cmで2条でソルゴーを播種します。ソルゴーの種類は高糖分ソルゴーと呼ばれるものが成績が良いようです。肥料はナスの場合は要りませんが、施肥の少ない露地花卉では若干施用した方が良いかもしれません。重要なのはソルゴーに農薬(特に殺虫剤)を使わないことです。前述の2の効果を狙うためにイネ科害虫が増えた方が都合が良いからです。
なお、ソルゴーを2条植えにすると本来の作物の栽培面積がかなり減ってしまうために1条植えにする方法もあります。効果は多少落ちるようですが、1条にして畝を細くしても効果はあるとされています。また、ソルゴーの花粉で作物が汚れる場合があるので出穂したら穂を刈り取った方が良いようです。
このようにしてアザミウマ等を減らすことができるとダニや鱗翅目に効果が高い専用剤を使い易くなります。検討してみては如何でしょうか。