&size(25){''昆虫の生態に関する談話室''};

 「昆虫博士」の方々、質問にお答えいただけるとありがたいです。。

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**単食性の意義 質問箱/7 より [#j7eb1350]
>&color(blue){生物好き}; &color(green){(2005-11-12 (土))};~
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Q2 単食性よりも広食性の方が自然選択的に有利に見えるが、なぜ単食性昆虫の方が多く存在しているのか。メリットーデメリットの観点での説明は?の答えがとても知りたいです。単食性の生物の生物学的意義に不思議を感じています。よろしくお願いします。~
(注)上記の「Q2」は[[食性]]のページにあるリンクです。(この注はSekizuka)
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+''発言移動''&color(blue){FUJISAWA};  -- &color(green){&new{2005-11-13 22:29:20 (日)};}; &br;面白そうなので、参加させてください。農家で昆虫について詳しく習った訳ではないので、解答ではなく答案として書きます。この答えは、トレードオフが正解なのでは? 単食性昆虫は他の昆虫より生存率を上げようとして広食性を失い、広食性昆虫は生存率を上げようとして単食性を失った。つまり、単食性と生存率、広食性と生存率はそれぞれトレードオフの関係にある。この解答でどんなもんでしょう?
+''発言移動'' &color(blue){FUJISAWA}; -- &color(green){&new{2005-11-13 23:41:58 (日)};}; &br; 生存率では、まったく具体的ではなくてダメでしたね。でも、やっぱり、単食性と広食性にとってトレードオフになる事実を集めて回答を導くと何かないかな・・・。
+''発言移動'' &color(blue){Sekizuka}; -- &color(green){&new{2005-11-14 (月)};}; &br;  「メリット−デメリットの観点」というのが1つのヒントでしょう。つまり、これだけじゃ説明できないっていう前振りですね。 まず、多くの植物は外敵に対する自衛手段として毒物を持っています。一般向けとしては[[こちら:http://www7.plala.or.jp/organicrose/ames.htm]]、ソースが見たいなら[[こちら(英文):http://www.pnas.org/cgi/reprint/87/19/7777?maxtoshow=&HITS=10&hits=10&RESULTFORMAT=1&searchid=1068462269303_1498&stored_search=&FIRSTINDEX=0&sortspec=relevance&volume=87&firstpage=7777]]を参照下さい。これらの毒物に対して、昆虫側は代謝によって毒物を無効化して対処しますが、それにはエネルギーが必要です。特定の植物にターゲットを絞る事により、代謝機構が専門化して効率的になる事はあり得そうな話です。 次に必須栄養素という観点から考えてみましょう。人間でも必須ビタミン、必須アミノ酸というのがあります。「必須栄養素の種類が少ない=自力で合成できる」方が有利そうに思えます。しかし、「自力で合成=エネルギーの無駄」という見方もあります。 最後に「特定の植物しか食べない=選択の幅が狭い」が本当か、という見方もあり得そうです。つまり、その昆虫が最初に発生した空間では、その植物が豊富だった可能性があります。この場合には選択の幅が狭いというデメリット自体が成り立たない場合もある、と言う事です。
+''こんな研究あります'' &color(blue){S}; -- &color(green){&new{2005-11-14 21:12:10 (月)};}; &br; 植物は植食性昆虫から如何に身を守るか−植物と昆虫の分子生態学研究の最前線− http://www.nises.affrc.go.jp/pub/library/ibota.htm
+''一つの回答として'' &color(blue){S}; -- &color(green){&new{2005-11-15 20:27:09 (火)};}; &br; こちら「昆虫のさまざまな情報交換」の「摂食誘引」のところをご覧ください。http://www.geocities.jp/doctor_mitsui/insect_1.html
+''発言移動'' &color(blue){生物好き}; -- &color(green){&new{2005-11-15 23:28:35 (火)};};  &br; ありがとうございます。つまり、メリットの一つは植物のターゲットを絞ることによる代謝機能の獲得。これは一般には毒素があり、利用する昆虫が少ない餌なら獲得競争がないので有利ですね。納得です。でも逆にその植物しか食べない(食べられない??)なら、その植物の生物量だけにかなり影響されます。共倒れになる可能性も考えられます。また、必須栄養素は各生物によって違うとは思うのですが、単食性の生物は自分で栄養を製造する体の仕組みが発達しているということなのですか?…単食性生物は、それだけで本当に大丈夫なのか心配に思ってしまいます。昆虫ではないのですがパンダはあんなに大きいのにササだけでいいとは不思議です。広食性の方がたくさんの栄養を獲得でき、活発に活動できそうなのに。(これがデメリットですかね?)昆虫以外の生物では、単食性より広食性の方が多いように思いますが…単食性の例として、パンダ(ササ)、コアラ(ユーカリ)、カイコ(桑)…他に何かありますか?最後に、トレードオフというと、交換ということですよね。Sekizukaさんのおっしゃるように、単食性・広食性のメリットとデメリットを並べてみたら、つまりトレードオフということにたどりつきそうですね。あるなしクイズみたいに…。
+''発言移動'' &color(blue){FUJISAWA}; -- &color(green){&new{2005-11-16 00:59:06 (水)};}; &br; だんだん、面白くなってきて思うことを一つ。農家を悩ませる害虫には、広食性の昆虫が多いと思います。ワタアブラムシ、オンシツコナジラミ、アザミウマ、ホコリダニ等。等と書きましたが、これらの害虫が苺の害虫の99%をしめていると感じます。でも農地(苺ハウス)の外では、そんなこと無いのにね。農家は、広食性昆虫に貢献しているって事かな? 農家は、広食性昆虫を大切にしすぎたのかも知れないなあ・・・。
+''専業者と兼業者'' &color(blue){ARMY-ANT}; -- &color(green){&new{2005-11-16 17:58:54 (水)};}; &br; スペシャリストとジェネラリストの話です。単一の植物を食べようとしたときに、それを代謝する、または解毒するシステムは、単一ですみますが、複数の植物に対応しようとすると、その数に相当する処理システムを昆虫が持たないといけなくなります。そこから考えると、コストの面から考えて、単色性の昆虫が増える傾向にあるということになります。しかしながら、単食性だけが現存するわけではなく、広食性の昆虫も自然界に存在するということは、コストをかけても存在できるニッチ(生息可能な空間、時間)が存在するということになります。どういうことかといいますと、単純な話、単一の植物があたり一面豊富に存在するところでは、問題なく単食性の性質が進化する(増える)傾向にありますし、さまざまな植物が入り乱れて生えているところでは、広食性の昆虫の独壇場になる傾向があるのでは?ということだと思います。「植物を食べるのに必要な体の機能・構造を保有するコスト」と「えさ量の減少リスクの回避コスト」のトレードオフです。
+''6への回答例'' &color(blue){Sekizuka}; -- &color(green){&new{2005-11-16 18:55:50 (水)};}; &br; 広食性というと何でも同じように食べられる様に見えます。しかし、こういう考え方もあります。食べ「られる」ではなく、食べ「なきゃならない」。人間を例にとりましょう。まさに雑食生物ですが、バランスが大切です。江戸時代に「江戸患い」という病気がありました。今で言う脚気です。白米とタクアンと言った食事を続けているとなったそうです。必要な栄養素を違う餌から得ている場合、どれか1つでも入手できなくなったら御陀仏という考え方もできると言う事です。
+''7への回答例'' &color(blue){Sekizuka}; -- &color(green){&new{2005-11-16 19:06:23 (水)};}; &br; 確かに広食性の方が有利な状況を作ったと言えるかもしれません。FUJISAWAさんが挙げている例はいずれも抵抗性が発達しやすい虫です。ARMY-ANTさんが8で言っているように、単食性は特定の毒に特化したスペシャリストと言えます。特化しすぎて、他の毒(農薬)に対応できなくて畑では滅びつつあると言えるかもしれません。
+''袋小路'' &color(blue){ARMY-ANT}; -- &color(green){&new{2005-11-16 19:26:17 (水)};}; &br; 10でSEKIZUKAさんがおっしゃったとおり、スペシャリストは進化の袋小路にはまってるので、特定の植物への偏食のあまり、農薬がまかれても、特定作物から離れて暮らすことができず、死に絶える、というシナリオが考えられます。広食性のものが多いと感じるのは、集中攻撃された単食性昆虫の空いたニッチに、ふらふらと広食性の昆虫がやってきて、農薬がまかれたりしてやばくなっても、またふらふらとどこかにいってほとぼりを冷ます、見たいなことになってるからじゃないかなぁ。
+''有利・不利'' &color(blue){生物好き?}; -- &color(green){&new{2005-11-16 21:50:59 (水)};}; &br; 9の意見なのですが、食べ「なきゃならない」というのは、必要な栄養分が単食性生物より多いということですよね。いろんなものを食べなきゃ補えない。そうでなければ生きていけない。それって、不利なことなんでしょうか?どちらがより進化した生物なのか…?私は、生き残るために考えた手段が広食性であったか、単食性であったかということだけで、どちらも同じ段階なのではないかと考えています。また、改めて「単食性(広食性)の生物学的意義」はどのように考えますか?意見を聞かせてください。
+''生存戦略'' &color(blue){ARMY-ANT}; -- &color(green){&new{2005-11-17 09:41:44 (木)};}; &br; 「単食性(広食性)の生物学的意義」というのは、まさに、適能適所だと思います。生物の生存戦略は万能ではないので、戦略の意義というと、その場所に最適な生き方を環境が生物に行わせているということになるのかもしれません。生物は自分の戦略を自らが考えて実施しているわけではなく、隣のやつよりもコストをかけずにえさを多く摂り、より多くの卵を残せた個体が、より多く、世代を超えてその特徴を伝えていきます。あまり移動しないで生活に困らない場所では、単食性昆虫が増え、植物が混生していて、単食性だと、頻繁な移動をしなければ十分なえさが得られない場所では、広食性が増える傾向にあると考えます。もちろん、移動コストと広食性のレベル(何種類の植物を食べられるか?)は、トレードオフの関係にあります。その生物が「たべなきゃならない」状態になっているのは、生物側が準備した性質ではなくて、自然環境の制約(植物の分布の仕方、気候等)や他の生物とのニッチ(縄張り)の奪い合いによる結果だと考えるといいかとおもいます。地球上の生物は同じ時を過ごせているということから、生存能力の上での優劣はないと考えます。優劣があるとすると、特定の場所、たとえば北極のような寒いところでは、耐寒の能力を持っている生物のほうがより優勢ですし、水中では陸とは違った栄養の摂取方法が必要であるといった感じです。したがって、より進化した生物は?というのは能力の優劣はつけにくいですが、通常、時間軸で見たときに、生物の特徴は「単純」から「複雑」へ変化すると考えられていますから、そういう意味では、広食性の性質のほうが単食性に比べ、より後に発現してきた生物の性質だと思われます。最近、数を増やし続けている郊外型の巨大なショッピングモール。中には、食料品、衣料品、電化製品と、無いものはないくらい多様な商品が売られている広いスペースに併設して、衣類、文具、食品の専門店が軒を連ねています。それぞれの隙間をうまく補完しあって、モール全体の収益性を向上させているのは、「単食性(広食性)の生物学的意義」と関連が深いように思います。
+''生物学的意義'' &color(blue){生物好き?}; -- &color(green){&new{2005-11-17 23:56:08 (木)};}; &br; 13の意見に対して…とてもわかり易い説明でうなづけました。最後の箇所なのですが…ショッピングモールの「それぞれの隙間をうまく補完しあって」という例はわかりやすいのですが、「モール全体の収益性を向上させている」の収益性とはどういったことですか?生態系を成り立たせるということだとは思いますが、イメージがわかないので具体例があれば聞きたいです。ショッピングモールなら多くの店を構えることでより多くのお客さんに来てもらうことが出来て、売上が期待できます。あと…「意義」つながりで疑問なのですが…草食動物の意義はどのように考えますか??パンダは起きている時間はほとんどササを食べているそうです。それ以外はエネルギーの消耗を押えるために寝る。ササはカロリーが少ないから食べ続けなくては生きていけない。どうして効率のよい肉食を選ばないのか?これも単食性と同じように考えて、ニッチや餌の獲得競争を避けてのことなのでしょうか。そのためにセルロースを分解する機能を持った。(パンダはもともと肉食らしく、馬などの草食動物より栄養吸収効率が極端に少ないみたいです。)そう考えると、生物は種の保存にのみ生きているみたいですね。人間も最終的にはそうなのかもしれませんが。…しかし、肉食の単食性は聞きませんね。存在するのでしょうか?
+''チリカブリダニは単食性?'' &color(blue){FUJISAWA}; -- &color(green){&new{2005-11-18 01:34:46 (金)};}; &br; 14の意見に対して、チリカブリダニは単食性の肉食でしょうか? 他のカブリダニがいろいろな虫や花粉を食べて生き残るのに対して、チリはハダニだけ、生き抜くにはリスクが大きそうだなあ。でも、ハダニを攻撃する力は確かに強い。あ、そうだ。共食いをするので単食ではありませんね。
+''ショッピングモール'' &color(blue){ARMY-ANT}; -- &color(green){&new{2005-11-18 09:15:04 (金)};}; &br; ショッピングモールの収益性とは、その場所でのエネルギー循環が高いレベルで維持される、というようなイメージでかきました(わかりづらくてすいませんです、)。その場所から植物も虫もいなくなってしまう方向ではなく、健全な物質循環が高効率で営まれ、虫がたくさんいて植物をたくさん食べ、たくさんの糞をするから植物もたくさん生える、という感じです。収益性というか、アクティビティーですかね。
+''パンダ'' &color(blue){ARMY-ANT}; -- &color(green){&new{2005-11-18 10:06:14 (金)};}; &br; セルロースを分解する能力をたまたま獲得した生物が、そこに大量に存在する笹を食べ物として利用することができ、その結果、繁栄して現在に至っている、と考えてください。結果的に、生物は種の保存のためにいきている、ようにみえますが、厳密にいうと、種の保存を効率よくできた者だけが、生き残って、現存種として成立しているということになります。肉はエネルギー効率がいいように見えますが、獲得するために獲物を探したり、追いかけたりするのに多くのエネルギーが必要となります。草は、ご指摘のとおりエネルギー効率はわるいですが、逃げたりしないので獲得は比較的容易です。生物の生存戦略は環境によって大きく影響を受けます。その場所にシマウマがたくさんいれば、そのシマウマをエネルギーとするライオンのような肉食獣が出現し、笹が多い場所にはそれを食べるパンダのような動物が出現し繁栄します。シマウマが多い場所でパンダは生きられないし、笹藪のなかではライオンは死んでしまうでしょう。先客のいないエサがあれば、それを利用して生活をしようとする動物が自然と出現してくるのは、人間の経済活動と同様です。
+''肉'' &color(blue){ARMT-ANT}; -- &color(green){&new{2005-11-18 10:16:06 (金)};}; &br; 動物の筋肉の主成分は、アクチンとかミオシンとかで比較的似ているので、食べるほうも微妙な味の選り好みがなければ、どんな肉でも食べられる(消化・吸収できる)んじゃないかなぁ、たぶん。特定の種の肉しか食べない肉食獣がいるとすると、単に生活圏にそのエサしかないか、もしくは、狩るのに特殊な能力が必要で体の形とかが変化してしまって、それしか食べられなくなったとか。ライオンとかチーターなんかでも、短距離専門とか、獲物を押し倒す時の力なんかの関係で、ある程度獲物の種類が決まっているということも聞いたことがあります。

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談話室/昆虫の生態


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